初診日の特定について

障害年金の請求手続きにおいて、初診日の特定はとても重要になります。
初診日で請求する年金の制度(国民年金または厚生年金)が決まり、保険料納付要件は初診日より前の納付状況で判定されます。また、障害認定日(障害の程度の認定日)は初診日を基準に決まります。つまり、初診日が特定できないことには何も始まりません。

しかしながら、初診の病院が閉院している、カルテが廃棄されているなどの理由で、初診日の証明書が取れない場合もよくあります。
もしご記憶や日記などで初診の病院が分かり、かつその病院が存在する場合は、以下の確認をお願いします。

✓病院が利用している倉庫など、外部にカルテを保管している場所がないか?
✓病院が保管している紙媒体(カルテの要約、診療受付簿等)の他、パソコン上に何かしらの記録が残っていないか?

これらの調査結果(外部倉庫、パソコンのデータ等)をもとに、「受診状況等証明書」(=初診日の証明書)を病院から得られる場合があります。
得られない場合には、所定書式である「受診状況等証明書が添付できない申立書」(日本年金機構HPに掲載されているPDFファイルはこちらです)を作成し、次に受診した病院へ初診に関する資料(病院名や初診日、担当医等)が残っていないか確認します。もし残っていれば、その資料に基づき「受診状況等証明書」の発行を依頼します。次へ受診した病院でも初診に関する資料が見つからない場合、再度「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成し、3番目の病院へ初診に関する資料が残っていないか確認します。この繰り返しを「受診状況等証明書」が得られるまで行うことになります。

その他、初診日の証明が取れない場合の救済策として下記制度・方法があります。


※第三者証明(日本年金機構HPに掲載されているPDFファイルはこちらです)
・第三者証明は、「初診日に関する第三者からの申立書(第三者証明)」にて、知人、友人など複数の第三者に初診日の頃の受診状況を証明してもらい、裏付けとなる資料とともに提出する制度です。これらの提出資料の整合性を確認してもらうことで、障害年金請求者の申し立てた日が初診日として認められる場合があります。

※初診日が一定の期間内にあると確認された場合
・初診日が一定期間内にあることを証明する資料(始期ならびに終期)を揃えて提出し、初診日がその一定期間内にあると確認された場合、障害年金請求者の申し立てた日が初診日として認められる場合があります。

※5年以上前に作成した資料
・初診の病院から証明書を得られない場合であっても、請求の5年以上前に診療を受けた病院が作成した資料(診療録等)に障害年金請求者申立ての初診日が記載されている場合には、その日が初診日として認められる場合があります。(5年は経過していなくても相当程度前であれば、他の参考資料を添付することで申し立てが可能な場合もあります。)

※健診日の取扱い
・原則、健康診断を受けた日(健診日)は初診日として取り扱わないことになっていますが、初診日の証明を得られない場合であって、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、健診日が初診日として認められる場合があります。

いかがでしょうか?大変、複雑な手続きであり、人それぞれご事情・対応方法が異なります。上記のような方法で初診日を特定することになった場合、年金事務所への相談が不可欠です。また、社労士のような専門家にサポートを依頼し、知恵を出し合いながら少しでもスムーズに初診日を特定する方法を探っていくことになります。

新型コロナウイルス感染症の影響による国民年金保険料の免除について

新型コロナウイルス感染症に関する公的支援制度は様々ございますが、国民年金保険料(令和22月以降)についても特例措置が講じられています。

これまでも保険料の免除制度は年間所得額に基づき適用されてきましたが、本特例においては年間所得額を実績ベースではなく、『令和22月以降の任意の月(最も収入の少なかった月など)×12か月』という算式をベースに計算できる他、令和22月以降の保険料について遡って適用できる点が大きな特徴です。

◎対象となる保険料
・令和2年2月~令和2年6月(令和元年度分)
・令和2年7月~令和3年6月(令和2年度分)

◎免除制度の種類
本人・配偶者・世帯主の所得額に応じて、下記4種類があります。
・全額免除
4分の3免除
・半額免除
4分の1免除


【全額免除の例】
例えば、単身世帯の給与収入のみの方は年間所得額が57万円以下の場合、全額免除に該当します。
年間の給与収入見込み額-65万円(給与所得控除)≦57万円

保険料免除のメリット
今回、特に強調しておきたいのは、保険料の納付を免除してもらうメリットです。

国民年金の保険料は国と折半して納付する仕組みになっています。
・国民年金保険料=国庫負担分1/2+被保険者負担分1/2

保険料を免除してもらっている期間も、国庫負担分はきっちり納付されます。このことにより、将来の年金額の減少を思いのほか抑制できます。

【もし未納のまま放っておいたら…】
・未納期間の老齢年金相当額=0円
【半額免除してもらった場合】
・半額免除期間の老齢年金相当額=全額納付した場合の3/4を確保
[3/4=国庫負担分1/2+半額納付分1/4(被保険者負担分1/2×半額免除1/2)]

なお、保険料を未納のまま放っておくと、年金支給事由が生じても保険料納付要件をクリアできず、障害年金や遺族年金が支給されないといった事態を招きかねません。免除期間は納付要件の判定時において、納付済期間としてカウントされるため、このような心配がなくなります。

今回の特例措置の要件である収入減については、外出自粛や営業時間短縮などの直接的影響までは必要とされておらず、収入減の事実があれば広く対象になるとされています。保険料を払えないと感じていらっしゃる方、既に未納期間がある方は、ぜひ免除制度のご利用をご検討ください。

◎免除制度の窓口等
・相談・申請窓口:市(区)役所・町村役場の国民年金担当
・日本年金機構の詳細解説ページはこちらです。

 

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